廉也の後ろから、一歩ずつ前に踏み出す。
目を逸らさないように、顔を上げたまま前に出れば、來叶のお父さんと目が合った。
「……雨宮 美愛です。」
出た声は思ったよりしっかりしていて、崩れそうな心に安心が出る。
大丈夫。大丈夫。大丈夫。
何度も心で自分を鼓舞する。
「君は……」
「おひさしぶりです…。」
さっきの廉也よりも驚いた様子。
そして、憎しみが揺らぐ瞳。
「そうか……君か。」
昔は “美愛ちゃん” と親しげに呼んでくれた。
今になっては、もう二度と呼ばれないだろう。
そして、私が昔のように呼ぶことも許してはくれないだろう。

