「………俺は、それを飲まなきゃこの世界で呼吸すら出来なくなっちまったんだ。」 『それ』っていうのは、さっきの薬のことなんだろう。 ……ということは、この薬って…… 「精神安定剤だ。」 自嘲するように苦々しく笑った廉也。 こんなに苦しんでるのに、背くことが許されない。 “次期後継者” という立場が、彼を闇から逃がさないでいる。 「俺は、この世界にいる限り、汚い奴にしかなれない。 ……あの日から、ずっと逃げ出したかった。 家柄も立場も、俺を構成する全てに背を向けたかった。」