「あと行ってない場所は……あの場所と、私たちが育った場所くらいかな。」
さり気なく美愛は声に出す。
だが、美愛の挙げたどの場所も、今の俺たちには “行けない”。
行かなかったんじゃなくて、わざと避けてきた場所ばかりだ。
「………行くか?俺の家。」
「ううん、いいよ。
悠が行きたくないなら、行かない。」
わざわざ嫌な場所に行く必要はない。
だけど、今回を逃したら、次はいつ行けるんだ?
「……仕方ない。変わるためにも、行かなくちゃいけない。」
「悠……」
心配そうな美愛の頭を撫で、手を掴んで真っ直ぐに進む。
ここからなら、10分くらいで着いてしまう。

