「そっか………俺も、変われるかな。」



「お前次第だろ。
俺は、あいつのために強くなる。

あの男が言ってたみたいに、不幸だと思っているままじゃ美愛を支えてやれねぇだろうしな。」




奏は何も言わずに、空を見上げる。



瞳に空を映したまま、奏は独り言のように呟いた。




「俺はもう、親を言い訳にしたくない。

この力を使うたびに、あいつらを思い出してあの頃を思い出すのは、もう嫌だ。


……あの女に気付かされた。」




そして、再び俺に顔を向けた奏は、なにか迷うのをやめたような表情だった。




……決めたんだな。



自分の過去を完全に乗り越えることを。




「行って来い。」



「そうするよ。」