いなくなった?



そんなことこの女は一言も言ってないはずだ。


多分、廉も知らねえだろう。





『あー……美愛言ってなかったのか。
じゃあ、聞かなかったことにしとけ。』




相手が命令口調なのも気にならないくらい、俺の中で今までよりも自分と強く重なる。




『もし今のことを美愛に一言でも喋ってみろ。』




電話越しでも感じる、相手の強烈な殺気。




『その時は俺が、お前を殺してやる』



冗談なんて、微塵も感じれない声。




廉と出会った時と同じ感情。




戸惑い、驚き、絶望……恐怖。




『美愛は……まあ、今は聞かねえ。
とりあえず、そっちが落ち着き次第、電話しろ。』