「頼むぞ。」 頷いたアキラに、俺は最後に目を合わせ、背を向ける。 アキラが階段を上がって行く音が聞こえると、俺はゆっくりと階段を降りた。 目の前には戦いの渦。 殴りあう鈍い音と、互いに罵り合う怒鳴り声。 大人はみんな、こんな景色を嫌うけど。 俺たちはまだ、拳でしかまともに自分をさらけ出せねぇんだと思う。 特に、男はな。 俺の感情は怒りで高ぶり、集中力を尖らせる。 今、殴りてぇのはただ一人。 階段を降りきり1階に着いた俺は、戦いの中へと踏み出す。 ーーーーさあ、喧嘩だ。