ピンポーン 電話を切ってから数十分。 駅から離れたアパートの一室を私は訪ねていた。 時刻は0時過ぎ。 非常識だな、と我ながら思う。 「おかえり。」 扉が開くと同時に私は抱きしめられた。 「……お疲れ様。今日も頑張ったな。」 悠は私をよく理解している。 私の全てを知っているから。 「悠、もうちょっと強く抱き締めて。」 悠と私は恋人ではない。 彼は今の私が唯一頼れる人。 汚れた私が求めるかけがえのないの居場所。 「美愛 、今日は家に泊まって行け。未來を起こすのも可哀想だ。」