「杏を置いて行けるわけないだろ」

切ない瞳で雷君に訴える龍。


「オレが病院に連れて行く。

…救急車は呼んでるから」


「…雷、お前、杏の病気知ってるのか」

「…オレのダチが杏ちゃんの事知ってて、教えてくれた。

お前にはもう、杏ちゃんを任せてられねえ…

杏ちゃんが苦しむだけだ」


「・・・」


放心状態になった龍から、私を奪うようにして抱き上げた雷君は、

学校の外に、私を連れだす。

その時丁度、救急車のサイレンが聞こえてきた。



「龍、もう、学校に来るな」

その言葉を残して、雷君は、その場を去った。


…私はこれからどうしたらいいの?

…もう、龍の傍にいちゃいけないの?

…もう何もかも、諦めなきゃいけないのかな・・・



失った物たちは、私にとって、大きすぎた・・・