俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ

「彼には言わないのかい?」


「…彼?」


「君をここに連れてきてくれた男の子だよ。

友達だって言ってたけど・・・

病気の事を知ってるんだから・・・」



「ダメ!」


「・・・え?」


「言っちゃダメ…言わないで先生」


「・・・どうして?」


「言ったら・・・」

「・・・」



「言ったら、龍は私から離れていっちゃう」

そう言った私は泣き出していた。


先生は優しい顔で、私が泣き止むまで、

手を握りしめていてくれた。

・・・しばらくしてハッとした。


「先生ごめんなさい。

まだ他の患者さんも見ないといけないのに」

私の言葉に、先生は微笑み首を振る。


「医者は僕だけじゃないから、大丈夫だよ。

そんな事より・・・

杏ちゃんは、もっと、彼の事を信用するべきだと、

思うけどな?」