中学に入ったころくらいまでは、

本当は普通に喋っていた。

この高校は、同じ中学出身の子が、

誰一人いない。あえてそこを選んだ。

・・・

先生が言っていた『あっち』のせいで。

私の生活が、一変した。

暗闇に突き落とされた気分だった。

でも、それを支えてくれたのは、

駅員をしてる私の父だった。

母は、早くに病気で亡くなり、

父は男手ひとつで私をここまで育ててくれた。

・・・

喋らない私を、

誰一人責めたりはしなかった。

高校の友達も、喋れない病気だと

思い込んでくれてるおかげで、苛められる事もない。

実際、

私は『あっち』の病気だ。