秀side


俺は中学3年生の修学旅行で、同級生の梨紅に告白した。


それから同じ高校に入り、付き合って2年が経過していた。



高校に入った途端に梨紅は一段と可愛くなった。

中学まで結んでいた髪をふわりとおろし、ガリ勉の印象が薄れてフワフワした可愛い女の子に変化したからだった。



そのせいで梨紅を好む男子が一気に増え、俺は梨紅を奪われる、という気持ちから切羽詰まった状況になった。



そのくせ鈍感な梨紅は、自分がモテているという実感がまるでないらしく、下心が見え見えの男子の質問だってとびきりの笑顔で答えている。


その笑顔を俺以外の男に見られるのは俺にとって屈辱であり、最も嫌なことだった。




でも、なにも気づいていない梨紅にそのことを責めても仕方ないと半ば諦めていたが、俺の我慢ができなくなりつつあった。


そのことを考えていると目の前にいる梨紅の言葉を聞いていない時があり、梨紅に何度も顔をしかめられた。


段々と梨紅に嫌われかけているんじゃないかと思った。