大学も別々になってしまったし、延いては彼は地元を離れて一人暮らし中。
なかなか会える機会がないからこそ、夏休みのイベントは貴重なわけで。

色々とかこつけなくても吾妻くんに会いに行ける今日みたいな日を、私は大切にしたいのに。

……わかってるんですか、この朴念仁。


「……花火きれいだったな」
「そ、よかったね」
「打ち上げ花火って久しぶりに見たんだけど、最近のはすごい凝ってて」
「ふうん」
「ハート型のとか、キャラクターとか、英文字とか」
「へえ」
「……ねえ吾妻くん、」


私、こんな厭味な事後報告なんかじゃなくて。

あの場で、リアルタイムで、きれいだねって、言いたかった。