吾妻くんの部屋は、よく言えば清潔、悪く言えばあっけらかんとしています。

グレイを基調としたシンプルなベッドに、専門書が並ぶ縦長の本棚と黒いパソコンラック。
あとは、備え付けのキッチンやユニットバス、その他電化製品類がちらほらと。

あんまり面白みがないものだから、この間こっそりクマのぬいぐるみを飾ってみたら、即行で処分されました。


「吾妻くん、今日は何してたの?」
「バイト。さっき帰ってきたばっか」
「……あ、そう」

セルフでグラスに麦茶を注ぎつつ、パソコンの前に座った彼を横目にため息ひとつ。

夜までバイトする気力があるなら、花火大会に付き合ってくれてもよかったと思うんだけどな……。