そもそも今日だって、本当は吾妻くんと二人で花火を見に行きたかったのに。
当の彼はというと、
めんどくさい
だるい
興味ない
の三点張りで全く行く気なし。
だからせめて、今日のために新調した浴衣だけでも見てもらおうと思って、遠路はるばるやってきたこの乙女心を彼にはわかっていただきたい。
「というわけで、部屋に入れてください」
「……休んだらすぐ帰れよ」
無愛想な台詞とともに、再びゆっくりと押し開かれていくオリーブグリーン。
……もしかして、足のこと、少しは心配してくれたのかな。
こういうちょっと優しいところを見せられるとつい嬉しくなってしまう私って、かなり単純なのかも。


