「なんだよ?」


「裕介、生徒に手出しちゃった?」


「愛花~」


呆れたようにため息をつく裕介。


「うそうそ。あのとき、裕介が手を差し出してくれなかったら、私どうなってたか分からないもん」


そっとお腹に手を当てると、裕介が私の手に自分の手を重ねる。


「だから、すごく感謝してる。私に幸せをくれて」


「愛花」


そっとキスをされる。


「俺だって、愛花と出会えてよかったと思ってる。愛花と出会えて、前に進めたから」


今度はお互い惹かれ合うように、唇を重ねた。


「キスするの、久しぶりだね」


「そうだな。つい最近まで、愛花つわりで苦しんでたから」


「もしかして、我慢してた?」


そう言ったら、裕介が「まあ」と言って苦笑いを浮かべた。