止まない雨はない

目の前の男性は目を一瞬大きく見開き、そしてすぐに戻った。


『すいません…私、びっくりしちゃって。
 助けてもらったのに、大変失礼をしました。』


私は言葉をかけ、頭を下げた。


「いや…いいよ。別に、そんなに気にしてないから。
 君、この会社に勤めているの?」


『はい。本当にすいませんでした』


「そっか…じゃあまた会うこともあるかも知れないね。
 今日、うちの事務所の人間が来ていると思うんだけど…」
そう言いながら、男性は名刺を一枚差し出した。





  望月・武田法律事務所
  弁護士  望月 恭哉