君と過ごした時間

こんなにもぞっとする気配を感じたことなんてあまりない。

「…なによ、もう。」

沖田と藤堂が怪我をしていないか心配だ。

「…?」

なんとなく花鈴は気配を感じ、そっと部屋を覗き込む。

そこにはいま伝令でいないはずの瑠璃が男に懐いている姿。

「瑠璃?」

花鈴の気配を感じたのだろう、男が瑠璃を撫でている手を止める。

「おや、ほら飼い主様だよ。」

物言いはとても優しそうな声だが、只者ではない気配と、殺気。

キュウ!

瑠璃は男から離れると花鈴の肩にとまる。

「…君はだれ?」

じぃっと男にまじまじと姿を見られる花鈴は柄に手を掛けた。

「名乗る必要なんてない。」
「へぇ…まぁ、そうか。」

ははっと苦笑いをした男も花鈴と同様、柄に手を掛ける。

「君にはどうやら戦う意欲がみえないな。」
「君は長州や薩摩の者ではないようだけどね。」
「あぁ、そういう理由かい?…そうだな、俺は…」

花鈴は少しだけ、首を傾げる。
どこか味わった雰囲気。
どこか懐かしい声。

だけど思い出せない。