君と過ごした時間

池田屋

「結構出入りが激しいな。こっちが辺りなのか?」
「花鈴、瑠璃はいるか?」
「いない。というよりも気配すら感じない。瑠璃が任務を放棄するとは思えないだけど。」

瑠璃はひなのころからずっと育ててきた鳥だ。花鈴の命令ならなんでも聞いた鳥。
それか、花鈴以外に従う人がいるのか?

「…瑠璃なら大丈夫だよ、花鈴ちゃん。
瑠璃を信じよう。」
「そう、だね。」

今一度花鈴は池田屋をみる。
ただ、気がかりなのは浪士の数だ。
こちらが当たりだとしても、10人程度でできるだろうか。

「……」

花鈴はそっと首裏に手を当てる。
先ほどよりは痛みが引いたがまた再び無理をしたら痛みがはしるだろう。

それぐらい、わかりきっていること。

人間と鬼が一緒に暮らしているなど、ほとんどあり得ない。
掟破りのことだ。

「大丈夫、わたしは…ただ己の任務をまっとうするだけ。」

呪文のように言い聞かせた言葉。


「花道君、そろそろ動こう。」

近藤の声に花鈴はゆっくり頷く。

「みんな、怪我なんてしないでよ?」
「おいおい、花鈴。俺たちは新選組だぜ?そんな簡単にやられてたまるかっつーの。」
「誰か並みに心配症なんだもんなぁ、花鈴ちゃんは。」
「ま、花鈴ちゃんらしいってことよ!」