「雪ー、ただいま」
「おかえり、陽介!」
放課後の教室に一人の訪問者が現れたのは私が思考を巡らせている、そんな時だった。
ドアから顔をのぞかせた少年は靴の色からして3年生なのだろう。
さらに、雪を雪と呼び捨てにするあたり親密な関係…
なんて探偵気取りで3年生少年をガン見していると、
「陽介、帰ろ」
「え、雪、説明なし?どちら様ですか?てかてか私と帰るんじゃなかったの?」
マシンガントークの如く質問攻めする私と少し困惑気味の3年生少年に挟まれた雪菜は気持ちいいくらいきっぱりと宣言した。
「彼氏の陽介。幼馴染の杏奈。じゃーね、杏奈」
「あ、うん。またね」
思わず返事を返し手を振り2人を見送る。
って聞いてないんですけど!彼氏いるの知ってたけどこんな身近にいたの?
いや、私は3年生少年もとい陽介先輩がきた時点で察していたけどね!
なんて、気分を上げて天を仰いだのだった。
