「澪ー!!支度できたのー!?」
一回から母の声がする。
…朝から元気だな。
「おはよー…」
「いつまで寝ぼけてるの!
朝ご飯できてるから
さっさと食べちゃって!」
「はーい」
低血圧でボーッとする頭も、朝から元気な母の声で少しずつ意識がはっきりしてくる。
「ごちそうさまー」
「はーい
じゃあ気をつけて行って来てね!」
「うん
行ってきます」
ローファーを履いて玄関を出ると、外はすっかり春の色に染まっていた。
「春のにおいがするー!とか
あの子なら言いそう」
親友の姿を想像して少し微笑ましく思ってから、学校への道を歩き始めた。
私の家は学校まで1kmくらいでかなり近い。だから毎朝の登校も徒歩だ。
しばらく歩くと学校が見えて来た。
学校のすぐ傍にある桜並木の桜は今年も綺麗に咲いている。
ここの桜は、桜庭高校の初代校長先生が桜好きで、高校の創立記念に植えたものなんだそうで、登下校にここを通る私にとってはお気に入りの場所でもあった。