和雅さんを乗せた車が、遠ざかって行くのを絶望に似た気持ちで見つめていると、後ろから来た人に肩を抱き寄せられ大きくよろけてしまった。


けれど、それが分かっていたかの様に広い胸が私を捕まえる。



「おはよう!瑠唯!」



見上げると予想していた通りの人物が、満面の笑みで私を見ていた。


「新、おはよう。」


私は、昔から見慣れている顔に心底安心感を覚えた。


きっと、この2日間の慌ただしい生活の変化に自然と緊張していたんだと思う。


そしてそんな私を、和雅さんが遠くでミラー越しに見ていたなんて、知るよしもなかった。






「藍沢、瑠唯といる奴を調べろ。
それと瑠唯の交友関係もな。」


「承知致しました。」