「今年の、写真部の旅行さ…北海道でいいよ」

『え?』

孝汰の顔を見る。何故かその顔は、切なさそうだった。

「向き合うよ、過去の自分に。…その時は、付き合ってくれるか?」

『…孝汰ー…』

孝汰の顔が、泣きそうに歪んだ。多分、孝汰の中で色々と葛藤してるんだろう…

『うん、いいよ』

「…サンキュ(笑)」

優しく、ふんわりと笑う孝汰。この笑顔…好きだなぁ…

『…』

「…」

2人の間に、沈黙が走る。風が吹いて私達の髪を優しく撫でた。

「帰ろう。送ってく」

『うん』

砂を払って、立ち上がる。私達はゆっくりと歩いていく。



この島には、時間がゆっくり過ぎていく。島のみんなが、幸せそう…

「じゃあな」

『うん、ありがとう』

私の家まで来て、孝汰は止まった。私の頭に手を置いて、ポンポンと頭を撫でる。

「じゃあ…また学校で」

『あ、うん…またね』

孝汰は少し寂しそうな表情をして、後ろを向いた。その姿を、私はいつまでも見送っていたー…