新学期が始まって1週間がたった。朝早く教室に来て、私は自分の席である事で悩んでいた。

『…』

机の上に置いてある、進路の紙。私は未だに、提出せずにいる。

ガラッ

『っ!?』

「…千尋?」

『孝汰…』

教室が急に開いて、ビックリしてドアを見る。そこには孝汰が立っていた。

「珍しいじゃん、千尋が早く来るなんて」

『うん…』

孝汰って、こんな早い時間から来るんだ…そう思いながら、私は孝汰の顔を見つめる。

「それ、進路の紙?」

席に着きながら、孝汰は言った。

『うん、そう。…孝汰はどうするの?進路』

「…俺は…一応進学」

『じゃあ、島を出るんだ』

「まぁ…そう言うとこ」

光も、孝汰も、夕夏ちゃんも…島からいなくなるのか…

私は、どうすればいいんだろう。ここに残るか、島を出るのか…

「お前は?」

『え?』

「進路、どうすんの?」

『私は…』

私の将来の夢…そもそも、夢って何?島でのんびり生きてきて、幸せに暮らしてて…

私は、どうすればー…

「今日中だろ?その紙」

『…うん』

「そっか」

そう言って、孝汰はまた机に突っ伏した。