「だから、今までのことだって。昨日のあれもさ、その、不意打ちっていうか…」





ゴニョゴニョと何かを言うゆうに昨日あったことがフラッシュバックする。
恥ずかしそうな愛の顔、戸惑うゆうの顔。
重なった二人の影。





「ごめん。やっぱ、今の忘れて。ごめん、私やっぱ無理だ。」






下を向いて言う私には、ゆうの顔は見えなかった。


そっと、ゆうから離れると逃げ出すように教室を出「待った。なぁ、俺らってすれ違ってばっかじゃね?俺さ、実はそんなに桜のこと好きじゃない。って思ってたんだ。でもな、離れて気がついたんだ。一輝に嫉妬する自分も、一輝も宮沢も、全部に苛立ってた。」





顔をゆがめて言うゆう。
それは一輝くんと愛に苛立っていた自分に一番腹立っているからだろう。
そんな優しさを私は知ってるから。
そんなとこも全部好きになったんだから。




「ゆうは、いつだって優しいよね。私はその優しさにひかれたし、ちょっと意地悪なとことか責任感があるとことか、実は花に頭が上がらないとことか、子供大好きなこととか、そういうの全部大好き。」






一つ一つの思い出が思い出されて、思わず笑顔になってしまう。






「そーゆーとこ。桜のそーゆーとこ好き。」






すっごい笑顔で言うゆうに私は首を傾げる。
え、どこが?






「あのさ、全部話すと長くなるかもなんだけど全部聞いてほしいんだ。今まであったこと。」






「うん。」





真剣な表情もカッコいい。
って、何考えてんのよ!しっかり聞かないと!