あいつに彼女ができました。





それから数ヶ月後。
季節は夏へと変わっていた。




「大丈夫!捺のこと絶対好きだって!!」






「えぇ~!本当に??」





捺は昴くんのことを好きなのを認めて。
私は悩みを聞く毎日。
それが、思ったよりも楽しくて、イチャついてるバカップルは見えない。

今日はメールの回数が減ったんだとか。




「桜~。桜はどうなのよ?一輝君とかさっ」





捺がそう言うのは理由がある。
それは、最近一輝君が私に頻繁に話しかけにくるようになったってこと。





「えぇ~!一輝君は、そんなんじゃないって!友達だよー!」





あの日から。
ゆうの声は全然聞いていない。


ゆうがまだ好きなんて、アホらしくて捺には言えない。





「えー☆俺がどうかしたっ?桜チャン☆」



 

噂をすれば…。

ちなみに、一輝君とゆうは最近全然一緒にいなくて。
喧嘩でもしたのかなっておもったけど、それはやっぱり聞けなかった。





「なんでもないよー!てかさ!一輝君って、昴くんと似てるよね~!性格が似てる!喋り方も似てる!似てないの、顔だけ~!」





前々から思ってたんだよね。
一輝君って誰かに似てるって。





「えぇ!?誰それー☆」






「捺の彼氏「ちょっ、桜!違うから!!」






「えー!マジで☆嬉しいかも~☆☆」






なんでー?なんて言いながら笑いあう私たち。ゆうと話せないのは辛いけど、忘れちゃいけない、あの事件。
私が笑ってること自体が間違ってるのかと思って暗い時期もあったけど捺のおかげで今の私がある。







「じゃあ、また明日ねー!」





捺に手を振り、帰路につく。

なんだかんだで今日も楽しかったなぁ~
やっぱり、捺って優しいし。




そして、家の近くの大きな木のある家を右に曲がった後だった。





………………キスをしている、二人を見たのは。





「あっ。桜。」 






「桜、違うんだ!これは…」






久しぶりに聞いたゆうの声。
こんな形で聞きたくなんてなかった。






「どーぞ、ごゆっくり…」





そう下を向いて言うのがやっとだった。
私は回れ右をすると、その場から一刻も早く逃げたくて走り出した。






「うっ。はぁはぁはぁ。ひっく。うぇっく。」