「ひっく。うぇっく。ひっく。」






どうしようもない現実に、涙があふれる。






「桜!桜、元気だして…?私、辛いよ。桜がどれくらいゆうたのこと好きだったか知ってるから。ねぇ、もうゆうたのことは忘れよう?酷なこと言ってるってわかってる。でもね?こんなの辛いだけだもん。」






「捺…。捺ぅー。ひっく。最低なの。私、最低なの!!ひっく。」






「そんなことない。優しい子だよ、桜は。お願い桜。幸せになってよ。」








捺。
私、幸せになれるのかなぁ?
ゆうがいないのに、幸せになんてなれるのかなぁ?


でも、前に踏み出さなきゃ。
きっと、私はダメになる。





「捺…ありがとう。ひっく。」





涙で目が真っ赤。
不細工な顔~。





そのあと、しばらく、その中庭にしては風通しのいいそこに私たちはいた。
雲がゆっくり流れるのを眺めながら、捺の話を聞いていた。
パーティーであの晴さまや、優斗さまに会ったという話。
昴くんのおもしろ話。
校長先生の裏話。


色んな話をしているうちに気持ちもだんだん落ち着いてきて。
最後は笑えるようになった。



大丈夫。
私は捺がいればなんとかなる。



きっと、ゆうも忘れられ…。
まぁそれはゆっくりゆっくり時間をかけていこう。