ガラッ
いきなり開くドアにビックリしてガバッと起き上がる。
「あ。桜…。」
「あ、あ、愛!?ど、どしたの?野球は??」
あまり会いたくはなかったけれど、仕方ない。
雅先輩から色々聞いたから気まずさを隠しきれない私。
そんな私を見て何かを考えながら笑顔でしゃべりかける愛。
「忘れ物~。桜はここで何してるの?あ。優大くん待ってるのか…。」
どこか寂しそうに言う愛に首がもげそうになるほど、首を横に振る。
「い、いやいや!捺を待ってるんだ~!うん、捺をねー!」
「そうなんだ~!2人仲いいもんね!でもさ、2人と私の間には壁を感じるの。なんか…隠してることとかない~?」
冗談と本気が半々にあるような口調で私に問いかける愛に。
私は悪いことをしたなぁと罪悪感をおぼえた。
だって、本当に愛が悪い子なのか知らないし、ただ人に言われてその言葉を鵜呑みにするのはよくなかったかもしれない。
「ないよ?壁…感じる??」
「ううんー!気のせいだったのかなぁ?」
でも、これから私は彼女の策略にどんどん引っかかっていく。
これが、作戦の始まりなんて…。
すっかり愛を信じ切っていた私には考えがたかったんだ───

