「でも、ちょっとわかる気がする!桜の隣にいると桜が綺麗な気するもん!桜も桜の近くにいると綺麗になるし!」
「ややこしいなぁ!」
あまりよくわからずに思わず顔をしかめる私に
捺はにこにこしながら
「ま、いいじゃない!桜は綺麗ってこと!」
と言った。
まぁ、桜は綺麗だね。
春大好きだもん、私。名前の影響もあるんだろうけどね。
「あ。なっちゃん!明日も来てな☆この時間に今度は1人でねっ☆」
「はっ!?わ、わけわかんないんだけど!ど、どういうことよ!行かないからねっ?待ってても知らないから!!」
顔を真っ赤にして一気にまくし立てる。
慌てて喋る捺に清水君は微笑みながら「ずっと待ってる☆」
と言った。
あぁ、微笑ましい。
捺はチラリと清水君を見てバカ。と小さく言っていたけど、帰るときに、また明日ね?と言っていたから、きっと明日来るんだろうと確信した。
「ふふふ♪捺にも春がきたねー?私、すっごい応援するからっ!清水君ってとこがあれだけどまぁ許そう!」
「なっ!は、春なんて来てないわよっ!!私のことはいいからっっ!今は桜でしょ!?!?」
「うん、私もがんばろーっと!捺!だから、幸せになってね?」
そう…。
私はあなたを諦めたくなんてなかった。
頑張ろうって。頑張ったらきっと振り向いてくれるって。
そんなこと、なかったのに。
振り向いてなんてもらえないって知ってたら、
私は最初からゆうを好きにならないで済んだのに。

