「失礼しまーす。」
なんだかんだいって部活は久しぶり。
やっぱ、そんな気分になれなかったし。
暗い気持ちのままマイクの前に立つことはできなかった。
「あー!来た来た!!こっちこっち!!」
と雅先輩は俺を放送部の部室になっている放送室の一部屋に俺を誘導した。
「よ。久しぶり。」
その部屋にいたのは雅先輩となぜか一輝と下田がいた。そして、部員の松永健吾と、渋谷春音と、斉藤翠もいた。
ちなみに、松永先輩と春音先輩は雅先輩と同級生で、斉藤は俺と同級生だ。
松永先輩と斉藤は付き合っていて、その仲の良さは学校1と噂されるほど。
笑顔が似合い、爽やかというより体育会系な顔をしている松永先輩。実は彼は極度の体育音痴である。
雅先輩を支え、俺ら後輩に優しく接してくれる黒髪のよく似合う春音先輩は、実はものすごい毒舌だったりする。でも、雅先輩との相性はとてもよく信頼しあっている仲だ。
みんなの妹のような存在でふわふわな髪が印象的な背の低い可愛らしい感じの斉藤は、実はあがり症で人見知りが激しく、最近でこそ話せるようになったものの、最初の避けようは異常なほどだった。憧れは下田だとか。
「遅いじゃねーか!ったく、顔ぐらい見せねぇと心配すんだろ?」
と言いつつも笑いながらいう松永先輩。
「本当よ。当番、私が変わってあげたんだからね、次そんなことしたら私何するかわかんないわよ?」
鋭く睨みつけつつも微笑を浮かべる春音先輩。
「本松君、お久しぶりです。えっと、あんまり健ちゃんを困らせないでくださいねっ。」
顔を真っ赤にしていう斉藤を優しく見守る松永先輩。
久しぶりの雰囲気にホッとする。

