「なんだその顔?」

すでに常連になりつつ泰治さんが私に向かって言った。


「もとからこういう顔ですよ。」
私は負けずに反論した。

「それにしてもすごい隈(くま)だな…。
アユ太郎、お前寝てんのか?」

相変わらず鋭い人だ。
今日の泰治さんはアフガンターバンを頭に巻いて、
ちょっと南国の浮浪者のような格好だった。
「ぼちぼち、キツいんじゃないか?

ちっとはおれに頼ってもいいんだぞ。」

泰治さんはそう言ってくれたけど、
素直に甘えることが出来ずにいた。

もっとしかりしなきゃいけない。
そう、思っていた。