大和くんは葛藤していた。


本当はもう、健さんと加奈子さんを許したいように思えた。

私は大和くんがこっそりふたりがどこに住んでいるかとか、
生まれた赤ちゃんの性別とかを調べていたのを知っていた。


大和くんは許すきっかけを探していたんじゃないかと思った。

あとは大和くんの気持ち次第だった…。


「大和くんの中での答えは、
もう決まってるんじゃない…?

赤ちゃんのおもちゃでも買って会って来たらどぅかな?」

私は大和くんの後ろをそっと押した。

あとは大和くんが決めること。


大和くんは私の言ったことについて、特に返事はしなかった。

まだ少し、考えているみたいだった。

「…。亜優。」

「ん?なぁに?」

「ありがとな。
なんだか、おれすごく情けないとこばっかり亜優に見せてるな…。
カッコ悪ぃな。」

私は、
正面から大和くんをぎゅっと抱き締めた。

我ながらすごく大胆なことをしたと、後になって思った。

「大和くんは、カッコいいよ…。
いつだって、
すごくカッコいいよ。」

私は大和くんの胸に顔を埋めながら呟いた。