「今日から、この学校に通うんだ…」 4月、春。 満開の桜の中で、私は口唇をきゅっと引き結び、緊張した面持ちで目の前に広がる学校を見つめる。 ―時槻 奈桜(ときつき なお)、16歳。高校2年の春、田舎から東京の高校に転校することになった。 最初は不安しかなかった転校。 だけど、転校先で君と出逢って恋に落ちるなんて。 この時の私には、知る由もなかったんだ…。