梅林賀琉

さっきまで昨日の海亀から始まり、なにやらおとぎ話の世界は奇妙だと思っていたが、こうも現実離れしている世界を体感してみるとなかなか面白いものである。



……そう、いつの間にかぼくの心にはこの海に対する冒険心や探求心というものが芽生え始めていたのである。



こうしていつの間にか家からだいぶ離れ、珊瑚礁梅林の中をずっと散策していたのである。



それは、先程も感じた美しき世界―これは欠けがえのない何かを含んだ世界であるに違いなかった。



外に出て上を向けば、限りなく広がる空を見渡せるのが地上で生きるものの常である。



人は季節ごと、時間ごとに違う空に何かを感じる。時にはそれに大きな感動を覚えることもあるだろう。しかし、海の中にいればそれはまた違ったかたちで感動を与えてくれることに気づいた。



今、ぼくのいる水深数十メートルからは海水面に日光が反射してキラキラと輝いているのが見えるのである。



季節は夏、ちょうど梅の実がなる頃であった。そんな梅雨時であるにもかかわらず、晴れている。梅雨の晴れ間ということか。



そんなことを考えながら珊瑚礁梅林の木漏れ日の中にいると何かいい詩でも一つ書けるのではないかなんて思ったりしていた。



しかし、案の定数分歩くと厭きてしまった。



(泳いでいる熱帯魚ももう少し色々な種類があってもいいんじゃないかな……。