梅林賀琉

またしても、わけがわからなくなってしまったがともかく、一階に降りてみることにした。



その前に窓を開けて亀吉を起こそうとすると、その気配に気づいたのか亀吉はむくりと起き上がり、なぜか幼い声で話し始めた。



「おはようございます。そして、今から浦島様の頭の中に浮遊する疑問にお答えします」


「では、それに答えてもらおう」と言うと亀吉は説明し始めた。



「この旅館はお客様の心身状態に合わせて部屋をそのつど改築するというサービス精神豊富な旅館に御座います。今回は突然倒れてしまった浦島様を最優先にして、梅林孝哉様の部屋さながらに再現した部屋を用意改築した次第に御座います」



こんなことされたら浦島様はまた気を失ってしまうのではないかというリスクは考えてくれなかったのかと思ったがいちいち口にすると面倒なので「まぁ、いっかもう慣れっこだ」と言ってみた。



すると、亀吉はモナリザのような表情を作ってささやいた。



「乙姫様の受け売りに御座いますね」


「悪いか」


「いえ、むしろ良きことに御座います」


「では、降りるか」


「えぇ。うふっ」


「またかよ」



亀吉は小さなみどり色の手を差し出してきた。



「乗らねぇよ」


「以外と朝からテンションがお高いのですね」


「どっちがだ……」