あなたが謝りさえすれば、その過ちを無に帰することもできます。わたくしは昔の優しく、慈しみと愛に満ちあふれたあなたのことを覚えています。それはまるで慈愛という名の水を湛えた滝壺のような方に御座いました。
昔、わたくしのお供として大梵天王の宮殿に参る途中にわたくしが体調を崩した時も、わたくしが有頂天になってイカれた時も、元カレに嫌がらせを受けたときも、わたくしの心のケアをしてくれたのはレスでも、スミスでも、他の誰でもないあなただったのです」
亀吉はその間、乙姫様の胸元でむせび泣きながら、如是我聞なんちゃらかんちゃらとお経のようなものを唱えていた。
「もちろん、亀吉に対してもあなたは優しく、決して上から目線の上司ではなかったのです。だから、今この場で謝罪すればあなたはきっと更正できることでしょう。
わたくしのいる前で亀吉にアイムソーリーして下さい。ただし、髭ソーリー大臣は認めないこととします」
亀吉は相変わらず、乙姫様の胸元に頭をうずめて泣いている。乳飲み児が母親に甘えるように。
ぼくは、正直言ってこの下りのわけがわからず、乙姫様は狂気なのかと思ったが、その尋常でない端麗な容姿に圧倒されてしまい、とりあえず亀吉に謝った。
一回では足りない気がしたので、三回謝った。
すると、乙姫様はご満悦の様子でぼくに礼を言った。
礼を言ったあとの乙姫様の微笑は絶品であった。地上の女でここまで儚く美しい笑みを湛えるものはいないだろうとさえ思った。
卑しくも、この時もしこの乙姫様と契りを結べたらどんなに幸せだろうかとまで考えてしまった。
しかし、もちろんそんなことは口に出して言えるはずもなくまず生きる世界が違うのだと肝に命じ、この思いは胸の内に忍ばせておくことにした。
昔、わたくしのお供として大梵天王の宮殿に参る途中にわたくしが体調を崩した時も、わたくしが有頂天になってイカれた時も、元カレに嫌がらせを受けたときも、わたくしの心のケアをしてくれたのはレスでも、スミスでも、他の誰でもないあなただったのです」
亀吉はその間、乙姫様の胸元でむせび泣きながら、如是我聞なんちゃらかんちゃらとお経のようなものを唱えていた。
「もちろん、亀吉に対してもあなたは優しく、決して上から目線の上司ではなかったのです。だから、今この場で謝罪すればあなたはきっと更正できることでしょう。
わたくしのいる前で亀吉にアイムソーリーして下さい。ただし、髭ソーリー大臣は認めないこととします」
亀吉は相変わらず、乙姫様の胸元に頭をうずめて泣いている。乳飲み児が母親に甘えるように。
ぼくは、正直言ってこの下りのわけがわからず、乙姫様は狂気なのかと思ったが、その尋常でない端麗な容姿に圧倒されてしまい、とりあえず亀吉に謝った。
一回では足りない気がしたので、三回謝った。
すると、乙姫様はご満悦の様子でぼくに礼を言った。
礼を言ったあとの乙姫様の微笑は絶品であった。地上の女でここまで儚く美しい笑みを湛えるものはいないだろうとさえ思った。
卑しくも、この時もしこの乙姫様と契りを結べたらどんなに幸せだろうかとまで考えてしまった。
しかし、もちろんそんなことは口に出して言えるはずもなくまず生きる世界が違うのだと肝に命じ、この思いは胸の内に忍ばせておくことにした。


