梅林賀琉

亀吉は冗談を言っているのだなと思い、今度は竜宮城のことについて訊いた。



「ところで、竜宮城はどこだ。辺りを見回しても建物らしきものは見えないのだが……」


「そうでしたね。過去世の記憶が皆無に等しい浦島様には仕方のないことに御座いますね。ちょうどわたくしから見て右側の珊瑚礁梅林が御座います。


その上部に頭を出しているのが、竜宮城の天守閣に御座います。そこまで歩いていきましょう」



確かに後ろを振り向いてみると梅林の上の方に天守閣がつんと突き出していた。



しかし、歩いていくにはだいぶ距離があるように思えた。大胆な気分になれば、歩いて行けそうだが……。とそこでまた亀吉がぼくの思考に入ってきた。



「わたくしには神通力がありますゆえ、大胆な気分になって歩かなくても済みましょう」


「わかった。でも、どこで習ったか知らないが他人の思考回路に入ってくるのはやめてくれないか。何となく、胸くそが悪い」



そう言うと亀吉はさっきまでのイケメンの風貌から梅干のようなしわくちゃな顔に変わり、しょぼくれてしまった。



「では、しょぼくれたわたくしの肩に捕まって下さい。おそらくさっきよりも速く、瞬きしている間に竜宮城に着きます」



何だかわけのわからぬ感じになってきたが、仕方なく亀吉の肩に捕まった。



すると瞬きをした途端、目の前に竜宮城の城門らしきものが現れた。改めてぼくは亀吉の力に驚かされたのである。


「亀吉はどうして、こんな不思議な力をもっているのだ」