梅林賀琉

わたくしどもの輩でも浦島様がどう生まれ変わって、今どこにいらっしゃるのかということを知ることができる強者がおるのです。その者のことは置いておきますが、それでついこの間、浦島様がどこにいらっしゃるかがわかったのです。


……そして、乙姫様の執事であるわたくしが参上いたした次第に御座います」



ここで、まだ話が続くのかと思ったがそこは我慢して聴いていることにした。



「……実はわたくしがこうして参上いたしたのは乙姫様の執事であるところに負うことが多いのですが、乙姫様が直々に浦島様のもとに参るというのが、当初の策略だったのです」



またしても亀吉の言葉遣いに違和感を感じたが、恐らく策略は予定という意味で使ったのだと推して頷いていた。



「ですが、乙姫様の神通力の調子が整わないことが御座いまして、わたくしが代理で参りました。そこで、再び用件次郎時貞で御座います」



ぼくはたまらなくなって突っ込んだ。



「普通に用件って言えよ」


「はい、では用件を申します。ドルルルルルルル……」


「早く、言えよ」


「リッチ!」


「あぁ?」


「乙姫様が浦島様にお会いしたいそうです」


「どうしようかな」


「竜宮城ですぞ」


「人面魚がいそうでいやだな」


「おりませんよ。おりますのは、海に住む容姿の整った整数論とガウスを愛してやまない美しい天人ばかりです……どうですか、わたくしと一緒に竜宮の都に行ってはくれませぬでしょうか?」