『夕貴は、那菜を恨んでいるでしょう? だって那菜は貴方が 受けた苦痛を知らないのよ? 貴方のように、 首筋に傷を付けられることも、 外を出る事を 許されないなんてことも、 なかったのよ…。』 動けなくなった。 苦痛だと知っていた。 母さんは自分がした事を、 分かっていた。 だからこそ、動けなくなった。 隙だらけの俺に、 また一つ傷をつけて 那菜を追いかけていった。