君と出会った記念日。


『夕貴は、那菜を恨んでいるでしょう?

 だって那菜は貴方が
 受けた苦痛を知らないのよ?

 貴方のように、
 首筋に傷を付けられることも、
 外を出る事を
 許されないなんてことも、

 なかったのよ…。』

動けなくなった。

苦痛だと知っていた。

母さんは自分がした事を、
分かっていた。

だからこそ、動けなくなった。

隙だらけの俺に、
また一つ傷をつけて
那菜を追いかけていった。