朝、扉の閉まる音で目が覚めた。 ベッドを出て、部屋を出て。 リビングへ向かった。 いつも居るはずの母さんの姿はなかった。 父さんはもう仕事に行ったあとだった。 那菜の様子を見に行くと、 那菜もいなくなっていた。 玄関扉に手をかけた。 ガチャガチャ言うだけで、 開きはしなかった。 「…嘘…。」 全部、残っていた。