ただ、その時の俺には分からなかった。 ついには物を投げてきたり、 包丁を取り出してきた。 俺は逃げ回った。 部屋に行き、クローゼットにこもった。 どうしてか、 部屋までは追ってこなかった。 それが救いだった。 ある日。 投げられたナイフが 俺の首筋に当たった。 流れ出した血。 それを見て、母さんは笑った。 母さんが、壊れた瞬間だった。