全ての命令は母さんからのものだった。

「外に出すくらいいいじゃないか。」

「勉強ばかりではダメだろう?」

「たまには言う事を
 聞かなくたって良いんだよ。」

父さんは全てに反論した。

母さんは父さんを愛していた。

父さんは、そんな母さんよりも
俺や仕事を大切にした。

それが、母さんは許せなかったんだ。

怒りの矛先は俺に向き、
父さんが仕事に行っている間、
こっぴどく叱られたり、叩かれたり。

俺は堪えた。
堪えていれば、
夜には父さんが帰ってきたから。