君と出会った記念日。


「…那菜。私は…。
 子供なんて要らなかったのよ。
 あの人の愛さえあればそれで。
 良かったのに…っ。」

「那菜っ!」

振りかぶった母さんの腕。
その手にはナイフ。
那菜が危ない。
那菜を引っ張った。

「…っ!」

腕に、痛みが走る。

「ゆう兄!腕が…!」

俺は那菜を連れて裏口から出た。
見えないところで那菜に言った。

「お前は…。」