「え、那菜!?
 那菜って、え?でも、だって、」

もう帰ってこないって、
言ってたじゃん。

馬鹿な母親だな、ったく。

頭痛がする。

きっと、俺の頭は察してたんだ。

那菜が家に来る事を。

「…えっと、ごめん、で、何か用?」

「…ホントに何も聞いてないんですか?
 でも私の名前、
 知ってるみたいだったのに。」

「あ、あぁ、まぁそれは気にしないで。
 知り合いと同じ名前だったから。」

嘘は吐いてない。
まだ同一人物と決まったわけじゃないし。