傘を、差し出す。 彼女は雨が当たらなくなったのに びっくりしたのか顔を上げた。 「大丈夫?」 「えっ?」 ―君と出会ったのは あの雨の日だったね。 君は涙を流してた。 ずぶ濡れで、今にも壊れそうで。 ほっとけなかったんだ。