そして、綾瀬はそこにずっと
立ったまま
俺の部屋をキョロキョロと見る。
ついには困った顔をする。
何がしたいんだか……
はぁ…
俺はクッションを二つ手に持ち、ポンと床に落とす。
「どーぞ。座って」
綾瀬は座る。
俺も綾瀬と向かいあう形でクッションに座る。
……………
「…」
…綾瀬を家に連れてきたものの……
どうしよっか…
泣いてたんだっけな…?
「でさ…」
「…なんで…泣いてた?」
綾瀬は怪訝そうな顔をした後
何か決意したのか
ぽつりぽつりと話しはじめた。
昔の話も聞けた。
綾瀬の…また新しい事知れた。
「…で、私は連れ子で…だから聖とは血は繋がってないの……」
ふぅーん…聖ね
「ぁ…ごめんね。なんか、迷惑だった?」
俺は首を横に振る。
「ううん。辛い事…あったんだな…綾瀬は強いよ。」
綾瀬は
目を見開いて…
「…綾瀬なら何があっても大丈夫。でも…もし、辛いのが耐えられなかったら…」
…綾瀬は強い。
でも、女の子だもんな…
「いつでも俺んとこ来いよ。」
こんな事、いっていいんだろうか?
もしや、綾瀬に俺の気持ちに気づくかもしれない…
でも、綾瀬は微笑み
「ありがとう。」
だけを言った。
本当にばれなかったかな…?
そんな事に頭がいっぱいで
結構、焦る俺。


