誰かがきた。
ゆっくりと振り向く。
「とう、まくん…」
来たのは…冬真くんだった。
「会うなっつったじゃん。」
…
冬真くんは私に近づく。
それで私は冬真くんの手を握る。
「まだ終わってないから。これで終わらせる。冬真くんは黙ってて。」
真剣な瞳で私は見つめる。
冬真くんはコクリと頷いた。
ボーッとしている先輩の方にまた向いて…
「だから…
私…今…すんごく幸せなんです…
大切な人がいるから守りたい。
そう強く思っていられるんです。」
私はより一層、強く冬真くんの手を握った。
ギュッと冬真くんは握り返してくれた。
今は冬真くんがいる。
大丈夫…
私なら言える……。
「強くならなきゃダメだけど…
時には弱くならなきゃ
自分のありのままの弱さを見せなきゃいけないときもあるんですよ?」
目を見開いている河西先輩。
「…だから
次はあなたが幸せになりましょ?」
そう言ったら…先輩は
泣き崩れた。


