舞 side
私は今屋上にあの先輩といる。
あの霜下という名字を知っている先輩と…
でもここは私1人。
多分味方なんていない。
助けなんかよんじゃダメ。
強くならなきゃいけないから。
冬真くんは…日直で行ってしまい
鈴はお手洗い。
そのわずかな時間で私は先輩に呼ばれてしまったんだ。
でもなぜ、呼ばれたのだろうか…?
やっぱり…あの人…?
先輩はまだ私に背を向けていた。
「ねぇ?"綾瀬"さん?」
私の肩はビクッとなる。
なぜ今は綾瀬なの……?
「あ、名前…私、名乗ってなかったね。
河西 華(かさい はな)。よろしく。」
やっとこちらの方に向いた華先輩。
でも…よろしく。って…
私はあまりこの人とは関わりたくないな…
「なんで私が呼んだかわかる?」
…
私は横に首を振る。
「まぁ簡単に言うと私はあなたを恨んでる。」
まるで時が止まったかのように
風の音がスローモーションに聞こえる。
恨んでる……
「私はあなたが大っ嫌い!あの霜下と同じくらいにねっ。」
先輩の目はもう怒りで満ち溢れている。
私だってあの人は嫌いだ。
でもなぜ、この人はあの人を知ってるの…?
「あの人は最低な人。お母さんと私を捨てたんだよ?結婚の約束してたくせに…」
唇を噛みながら悔しそうに言う。