「…と、…ぅ、まくん……」
なぜ彼が私の場所を知ってるの…?
「まいっ…」
私の腕を引いて、冬真くんは私を優しく抱きしめる。
皆は、結構焦っている様子で…
「…なんで……」
「お前ら、何しようとした……」
今までに聞いた事のない低い声で
冬真くんは彼女達に言う。
「べ、べつにっ…」
「ほら、皆いくわよ。」
あの先輩はそう言ってでようとする。
冬真くんはそれを見つめてるだけだった。
先輩は私達の横に通ると…
「また、今度ね…"霜下"さん。」
そして、去っていった。
「今度とか…会わせねーし。」
冬真くんはそう言うが、
霜下という名前に反応しなかった。
そして、二人だけになってしまった。
さっきは、本当に泣きそうになってしまった。
なぜ、先輩が"あの人"を知っているのか。
しかもなぜ、冬真くんが私の場所を知っているのか…
「冬真くん…」
まだ、私は冬真くんの腕の中にいたから
離してもらおうとする。
「ゴメンな…」
だが、逆に腕の力は強くなるだけだった。
「うぅん。大丈夫。」
「大丈夫じゃねーだろーが。」
…
「うん…」
冬真くんは私を離す。
そして、頭を撫でてくれた。


