聖 side
あの日
母さんとは話していなかった。
「ねぇ、ひじ…」
名前を呼ばれた瞬間…
俺は母さんから離れて駆け出していた。
ーー…もう、きっと会う事はないだろう。と思いながら…
そして、舞を傷つけた事を悔やみながら…
もう悲しい顔はさせたくない。
何もかもが嫌だ。
…俺を嫌いにならないでほしい。
舞は許してくれるだろうか…?
嫌な事ばっかり思い浮かぶ。
俺、こんな弱かったっけ……
前だったら大丈夫。話せばなんとかなる。って思ってた。
でも、今は違う。
あの舞の顔は今にでも消えそうでなくなりそうだった。
だから、いい方には考えられない。
ーー…
ーーー…
家へ帰った俺。
ー…ガチャ
と、舞の部屋を開ける。
いない…


