親は、結構放任主義で、あんまり会ったりもしないかな。
だから、翔太郎はかなりの甘えん坊。
中1のくせしてね!
「姉ちゃん、いってら~♪」
すれちがう翔太郎にそう言われて、
「いってきま~♪」
とのりよく返す。
そうしなきゃ、怒られるんだよね!
------------------ガチャンッ
ローファーをはいて、玄関の扉を開く。
眩しい光と共に、海人の姿が見えた。
「おはよ、碧。」
--------ニコッ
相変わらず、屈託のない笑顔で私を見る。
なぜか、胸が痛くなる。
「海人、おはよー!」
私も負けじと笑顔でそういった。
でも、逆にまた笑顔で返された。
やっぱり海人には勝てないなぁ、なんて思った。
-----------カシャンッ
軽い音と共に、青い自転車が現れる。
海人の自転車だ。
「ん、乗って。ちゃんと捕まっとけよ?」
私を軽々と持ち上げて、自転車の荷台に乗せる。
カレカノでもなんでもないけど、毎日こんなことを繰り返してる。
そこまで、今のお互いの状況も知らず、また、知ろうともせず。
意味のないことを繰り返す。
友情なんてものも、これっぽっちもないのに。